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縁側と水面 - 星屑と祈り
雨上がりの翼
ぼんやりとした街並みを見下ろす。遥か向こうで咲いていたたくさんの花は閉じ、代わりに淡い煌めきを纏う。すぐそばの通りではがらがらという車輪の音が増えていくのが聞こえる。窓ガラスを雨粒がつつ……と垂れていく。それに触れようと手を伸ばして、すぐに引っ込めた。その手を強く胸の前に引き寄せる。拳に掛かる息はとても熱い。
わたしになにかを思う資格はあるのだろうか。窓から背を向けて考える。今、街を見てしまえばわたしが潰されてしまいそうだから。喉が宿すちくちくとした痛みを飲み下すよう、溜まった唾を飲む。肺の奥底から長い息が漏れる。
痛みは消えず、淀んだ空気だけが身体の中に染みてしまったような虚しさが残る。
外からは子供達の声が聞こえる。雨が上がり、遊び直そうとはしゃいでいるらしい。わたしもあんな風に遊んでいたと懐かしさが込み上げる。それと同時に苦しさも沸き起こる。ただ値が高いだけの物に囲まれ、じめじめとした部屋に閉じ込もって本を読むだけ。本を通して知った間接の世界は曇って、淀んで、大嫌いだった。富を得て、誰かを騙して、誰かを傷つける。その繰り返し。
いつからこうなってしまったんだろう。全部が面白くて、全部が楽しい世界はどこでなくなった。